ノベルゲームの声って必要ですか?(独り言以外の何か より)

結論から言えば、必要であるように作ることもできるし、不要であるように作ることもできます。企画として、商品として、作品として、どこを目指すかによって選択するだけのことです。

さて、シナリオ書き的な立場から言えば、エロゲのテキストのセリフ部分とは、小説のセリフ部分とも、アニメやドラマ、演劇の脚本とも、異なるものです。……アニメやドラマの脚本を書いたことがないので、後半の方は実のところ定かではありませんが、アニメやドラマを見て感じるものと、自分が書いてるエロゲテキストとの違いからは、そう推測されます。

それらの違いとは、表現手段の違いからくる必然的な相違です。小説は文章のみによる表現ですし(ラノベはまたちょっと異なる気もします)、アニメやドラマには映像、特に人物の演技という重要な表現要素があります。演劇もしかり、です。また音響の効果は、視覚と同様直感に訴える強力な表現要素です。それらに対して、エロゲは文章があり、映像があり、音響があります。
表現手段の違いが、どう実際の表現の差に出てくるかというと……例えば、綺麗な夕焼けへの感動を表現する際に、です。
小説なら、「綺麗な夕焼けだ」とか文章で書ききらなければなりません。アニメやドラマなら、人物に「うわ……」とでも言わせながら、夕焼けの映像を流すかもしれません。音響を使うなら、カラスの鳴き声を入れるかもしれません。エロゲはそれらをすべて実行するかもしれません。

またセリフの構造にしても、音声言語と文章言語には違いがあります。あります、と断言しつつ、研究はしていないので詳しいことは書けませんが、書き方が変わるのできっと違いがあるのです。俺なんかもう、エロゲテキストばっかり書いてるせいで、小説の書き方がわからなくなっちゃってます。えらい困った話です。

これらを踏まえたうえで言えることは、文章も映像も音響も、'あるもの'を伝えるための手段にすぎない、ということです。だから結論の、必要であるようにも不要であるようにできる、となります。'あるもの'のために適切な手法を選ぶことが重要なのです。手法が過剰であったり不足であったりすると、'あるもの'が伝わらなくなってしまいます。そしてエロゲは、その手法をかなり幅広い範囲で、自由に選択することができます(あくまで企画のうえでは。実際は予算という厳しい制約があります)。アニメのようにセリフ・映像・音響のみで作ることもできます。逆に文章のみでも可能です。いっそのことリアルサ(ry。

なので、制作的な観点*1からは、音声の要不要は企画の問題であり、ゲームジャンルの問題ではないのです。まあ、アニメにしちゃったら'ノベルゲーム'とは言えませんが。

もしもプレイしていて音声に違和感があるのでしたら、そのタイトルは表現手法の選択が少々甘いのかもしれません。




じゃあなんで、音声・SE・BGMはコンフィグでoffれるんだ? って話ですよね……演出する側からすると、切れないようにして欲しいですよね、実際。SEある前提で演出してるのに、SE切られたら意味わからなくなりますし、どっちでもいけるように作っとくわけですけども……でも音声だけはほんと勘弁して欲しいです。話言葉と書き言葉って違うんですよ、ほんと、ケータイ小説と小説を見比べてくださいよ、もう……

*1:営業的な観点、というのもあります。説明は省略しますが。