ユメミルクスリ 二

弥津紀ルート、ねこ子ルート終了。これで全てのルートを終えたようです。ので総括的に……と思ったのですが、この二人のルートがつまらなかったので、まとめるほどのことはないと思ってしまいました。『ユメミルクスリ』の本筋は、あえかルートで完結してしまっているように思います。

弥津紀とねこ子の話の筋は、そのモチーフから結末までも同じで(エピローグでの別離にいたるまで同じなのにはどうしたら良いかと思った)、テーマに沿った作品とという観点からすると同じ話があることは疑問です。テーマ物なのは表向きで実際はエンターテインメントだとしても、物語中の出来事がパッと順序だって思い出せないくらいには、物語が破綻しています。キャラクターの行動動機が、描写が不味いのか説明する出来事がないのか、不明であるし、特に病理(?)を抱えているヒロインの心理を表現仕切れておらず、どうして面倒を避けるのか享楽的な楽しみに耽るのか、ドラッグを常用するのか、キャラクターと物語の根幹となる部分が描けていませんでした。説明はあるのですが、説明しているだけす。説明と描写の違い、というものを酷く意識させられました。
この点に関しては、弥津紀ルートはちょっと自信が持てませんが、ねこ子ルートは文章の印象がかなり違うので、あえかルートとは異なるライターが書いていると思われますので、ライターの力量差もあるかもしれません。プロットが悪いのかもしれませんが。というのも、あえかルートは「イジメといじめっ子」というヒロイン&主人公の対立存在が明確にあり、その争いがドラマを生むのに対し、弥津紀とねこ子の物語はその内なる葛藤の物語であり、単純な対立構造がありません。また主人公はヒロインの葛藤に、最後になるまで気付かず、主人公を通してしか物語を見られないプレイヤーもまた、ヒロインの葛藤に気付けず、結果として漫然と読み進めるだけでつまらない物語となりました。ドラマ至上主義になりたいとは思いませんが、弥津紀とねこ子が持っていた心の空隙・虚無を表現できないのならば、ドラマを起こした方が楽しめる読み物になったに違いありません。刹那的な楽しみやドラッグに溺れることに共感できるプレイヤーであれば、また違った感想を抱くかもしれないのですが。
ただ、結末として、安易ではあるものの、主人公とのふれ合いから立ち直る力を得る、というのは、あえかルートより前向きではあったと思います。取り扱っている題材に比して軽いことが問題ではあるのですが。
実際、あえかルートくらいの事象に立ち向かう姿、及び事象の原因の描写を、弥津紀ルートとねこ子ルートでも行えていれば、名作とまではいかなくても、問題提起をするくらいの話題作、佳作になれていたと思います。あえかルートはなんだかんだでドキドキしながら読み進めていましたし、ねこ子ルート、弥津紀ルートを始める前にも、どんな物語が待っているのだろう? と楽しみにしていたのですから。
社会問題を扱うというのは、それほどに困難なのかもしれません。


さて、次は最近出たエロゲをやりたいですね。去年の作品はまだ未プレイで残ってはいるのですが。