エロゲを技術論的に共有する
友人と話していると、エロゲを技術論,制作ノウハウ的な見地から共有することが足りない、という事になりつつあります。Creator'sConference(例えば、CESAがゲームショウでやっているような)を開いた方が良い、という感じの。
しかし実際問題として、エロゲ制作の現場は常にぎりぎりであり、余裕があるスタッフはまずいません。一部の経営側の人間は余裕がある場合もありますが、そういう人間は得てして制作の実態を知りません。(外側から好き勝手を言うことはままありますが。愚痴ですのでスルー推奨)
また、ユーザー側からも制作の実態を知り得ないでしょうから、その感想、言説が技術論的な――リバースエンジニアリング的な――見地に踏み込むのは困難です。踏み込むことにより得られる意義も、ユーザーには魅力的でないと思われます。それらはやはり、制作側の人間として共有したい知識でありますから。
つまり"ゲームを解析する"作業なのですが(こういう表現をすると「耳が痛い」と言う友人ですが。笑)、これを完成品を外から眺めて行うのではなく、制作手順としてひもといてみたいと思います。多分に俺の個人的経験に則した内容になりますので、有識者、経験者の方からのご指摘があれば嬉しいです。(そういう人がここを見てくれること、ほんのちょっぴり期待して)
さて、一本のエロゲが店頭に並ぶまでには、
- 企画立案
- プレゼンテーション,予算確定
- 制作
- 広報,営業
- パッケージング
- 流通,販売
という過程を経ますが、俺の経験で展開できるのは"企画立案"と"制作"の部分だけですので、さらに絞って"制作"にのみ焦点を当てたいと思います。
"制作"と"企画"とを、どこで分けるかは実は難しいのですが、(キャラや世界観の詳細が、企画の時点で決まっていることも、多分、ある。俺の経験ではないけど)、詳細なキャラクター設定を作ることを"仕様決定"に含めることにして、"制作"に入れることにします。またスタッフの決定は企画に含めることにして、今回は語りません。プレゼンにおいてもっとも予算を引き出せる言葉が「あの有名な原画家を起用しますから」であるからして。笑。
ということで、エロゲを作る作業手順は、
- 仕様の決定
- プロット作成
- 字コンテ作成
- キャラクターデザイン、各種グラフィックデザイン
- 各種リソース(テキスト、CG、BGM、SE)の作製
- ゲームエンジン作製(チューニング)
- スクリプト作製
- 音声台本の作製
- 声優の決定
- 音声収録
- 音声切り出し
- 動作チェック
- マスターディスク作成
- マスターアップ
とまあ、こんな感じです。
各シークエンスはさらに細分化できますし、音声関係は"リソース作製"に含められるとも思いましたが社外に発注する場合が多いでしょうから敢えて分けました。
各工程の詳細と職務は長くなるので次回以降に。